幕末について整理~その1

自分の勉強のために幕末史を学び直していますが、ちょうど今年の大河ドラマは吉田松陰の物語ということで、ドラマをより深く楽しめるよう幕末史について整理してみました。歴史に疎い人にも分かりやすいようビジネスに置き換えて説明してみようと思います。



幕府を株式会社としてみる
まず、最初に理解しておく必要があるのは幕府とはどういうものかです。徳川幕府には親藩、譜代大名、外様大名が居て・・・といった組織構造は理解していても、どういったガバナンス体制にあったのかまで知れ渡っていないように感じます。そこで幕府について現代のビジネス用語で説明しようと思います。

まず幕府を株式会社だと思ってください。徳川家康が創業した会社で、国から独占的な事業を委託されています(=大政委任)。代表取締役(=征夷大将軍)は代々徳川家の家長が継いでいます。

創業者の一族たち
創業者の子孫には株式(=所領)の一部が継承されています。彼らは資本家(=一門)側ですので自らが取締役になったり労働したりすることはありません。配当(=年貢)をもらって遊んで暮らせる身分です。

従業員たち
実際に会社(=幕府)の運営を行うのは従業員(=被官)たちです。彼らは大きく分けて役員(=譜代大名)、管理職(=旗本)、平社員(=御家人)に分かれていました。公務員の採用試験と同じように、採用(=家の格)によって昇進に大きな違いがありました。譜代大名というと戦国大名のような「大名」という視点で見がちですが、実際には出世して子会社社長になった従業員です。ですから、頻繁に人事異動(=国替え)があります。酒井忠勝の場合、越後高田→信濃松代→出羽庄内と異動しています。また、本社役員(=老中など)と兼務する場合が多く、常に本社勤務(=江戸在勤)となり、子会社(=国元)には全く出勤しない人も良くいます。

ケイレツ企業のみなさん
徳川幕府は大企業ですから、系列企業(=外様大名)も沢山あります。しかし、これらの系列企業とは資本関係はありません。系列企業は仕事の全てを徳川幕府からの下請け(=領地宛行)でなりたっています。徳川幕府との取引ルール(=武家諸法度)に違反すると、取引停止となり倒産(=改易)してしまいます。

つまり、幕末を理解する前提として、なぜ譜代大名だけが幕政に参加していたかといえば、親藩にとって政治の実務を行うのは家臣の仕事であるという認識であり、外様大名にとっては徳川家の家臣が行うものだという認識があったからです。ということは外様大名の中には「徳川家の家臣になった方がいいな」ということで譜代大名に転向した大名家もあります。

幕府の要職
幕府の実務を担っていたのは執行役員(=老中)の人たちです。このうち、最高執行責任者(=老中首座)の人が実質的なリーダーとして幕政を取り仕切っていました。ですので、幕府の動きを見るときは、誰が老中首座であるのかを意識しておくと非常に解りやすいです。

次回へ続く




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