百人一首40 しのぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで

百人一首(Wikipediaより)
ここ数日、藤原摂関家中心に歌を紹介してきましたが、そろそろネタが尽きてきてしまったので、少し時代をさかのぼり、一気に2首を紹介します。

しのぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで
平兼盛

恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか
壬生忠 



内容
この2首の作者はどちらも有名ではありませんが、歌でいうと「恋すてふ」で始まる壬生忠見の方が印象に残っている方が多いのでは無いでしょうか?ともに「心に秘めた恋」を歌っている歌になります。
平兼盛の歌は「秘密にしてたつもりだったんだけど、顔に出てたらしくて、人からは最近恋してるでしょって言われるんだよね」と中学生みたいな内容です。一方の壬生忠見の方は「好きなんだけど、隠してるのさ!」っていう内容です。
この唄は実は同じタイミングで作られました。

内裏歌合
この歌は村上天皇主催の歌合という場でそれぞれ披露されました。僕も詳しくは知らないのですが、この歌合とやらは只単に歌を披露するのではなく、左右に別れて勝ち負けを競い合うコンペティションだったらしいです。そこに登場した両大将、平兼盛と壬生忠見。テーマは「秘めたる恋心」。さて勝敗はいかに!?
皆さんはどちらの歌が好きですか?僕は平兼盛の方が好きです。青春時代の男子って感じでニヤニヤしちゃいます。「好きじゃないって!あいつのこと好きとかじゃないって!」って顔を真っ赤にして否定してそうです。それに比べると壬生忠見の方は「で?秘密なんでしょ?」つまてな感じに思えてしまいます。
この歌の勝負の結果は公式には引き分けでしたが、天皇は平兼盛の歌のほうを気に入ったそうで、壬生忠見は負けにショックを受けて死んでしまったそうです。当時の和歌は命を懸けたものだったんですね。

父親は誰だ
さて、勝者の平兼盛ですが、意外なところで現代にも影響を及ぼしていると考えています。平清盛の祖先?いいえ、全く 血縁はありません。実は彼は赤染衛門の父親と言われています。赤染衛門を取り上げるときに、あえて赤染用時時の娘とかきましたが、果たしてどちらが本当の父親なんでしょうか?
実は赤染衛門の母親は元々平兼盛の妻でした。しかし、妊娠中に離婚し赤染時用と再婚しました。さて、お腹の子供はどちらの子供か!?というのが問題となり平兼盛は子供は自分の子供だと裁判に訴えでましたが敗訴してしまいました。
現在の民法において女性は半年間の再婚禁止期間が定められていますが、もしかすると法律を考えた人が平兼盛を思い出したからじゃないかと思っています。


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