華北と華南はやっぱり違う

今年のゴールデンウィークには山西省にある「平遥古城」に行ってきたのですが、
つい先日、上海郊外の世界遺産「留園」で有名な「蘇州古城」も見てきました。

「南船北馬」などに代表されるように中国も北部と南部では
その文化が大きく異なっているといわれています。
とはいえ、そういった違いはなかなか外国人には分かりにくいですが
幸運にも短期間で華北と華南を代表する歴史都市を訪問できたので
中国の南北の文化の違いに気づく事ができました。

平遥古城

まずは華北の街並みを残す
世界遺産『平遥古城』です。

今の街が作られたのは明代ですが
清代には東洋一の金融街として
大きく発展しました。
その後、民国期には衰退を迎え
開発の波から取り残されたため
見ごたえのある街並みが残りました。

この写真を見ても分かるとおり、気候は乾燥していて非常に埃っぽいです。
なんとなく靄がかかっていますが、これは黄砂です。
日本でも最近は話題になる黄砂ですが、正に平遥は黄土高原の上にあり
黄砂の発生場所となっている地域にあたります。

ちなみに、皮肉なことに黄砂はここらへんから舞いあがるので
現地では砂が積もって大変なことにはならなかったりしています。

建物はレンガ造りですが
表面に漆喰などは塗らずに
レンガの表面を磨いて
外壁を飾りたてています。

四合院作りと呼ばれる
中庭に向いた建物のため
外側には窓などは少なく
個々の家が要塞のように
しっかりとした作りです。

表通りは商店が多いですが
一歩路地裏に入ると
そこは要塞都市のような
壁が聳える景観でした。

外から見ているだけでは
何だか味気ない景観ですが
内部は外とは大分違います。


敷地の中は外観と違い
奇麗に飾り立てられています。

僕は、この地味な外観と
立派な敷地内という対比は
とっても中央アジア的だ
と感じています。

遠くモロッコまで通じる
中央アジアの遊牧民文化の
東の端に居るように感じました。



蘇州古城

一方で華南の蘇州です。
こっちは写真が少ないのですが
この一枚で違いは明確です。

そう、「水」が多いんです。
土ばかりだった華北に比べ
さすがに上海周辺は
水路が縦横に巡っています。
まさに「南船北馬」でした。

世界遺産の『留園』も
庭園の中心に池があり
水が生活を取り囲んでいます。

そして建物がオープンです。
風通しが良くなるように
建物の両側に窓があります。


また、建物の柱と両脇の壁はレンガ造りですが正面のファサードは木造です。
時間を経て黒く変色した柱や外壁に付けられた彫刻は、
どことなくチベットやヒマラヤを思い起こさせるようなデザインとなっており
平遥が中央アジアの遊牧民文化の東端であるならば
蘇州はインド文化の東端と言えるような雰囲気を持っていました。

で、もう少し視点を広げてみると、中国からの文化的影響を見た時に
気候が寒冷な朝鮮半島は陸続きの華北の文化が強く
温帯モンスーンの特徴の強い日本は華南の文化が強いように感じられました。

やはり中国は大きいですね。国家として一つだから、民族が同じだからといって
文化は一つとは限らないという気持ちを持って見てみると
何かと新しい発見がありそうです。

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