平清盛と百人一首

今週の清盛は先週とは打って変わって清盛の恋の話でした。
先週の最後で平時子(深田恭子)を見せておいて、
実は結婚相手は別でしたっていう見せ方は上手いですよね。
清盛の妻といえば、時子の印象が強いわけですから。

今週の話は清盛の恋愛を通じて
和歌で気持ちを表現する当時の文化を描いていましたね。

清盛が和歌に長けた佐藤義清に恋文を依頼していましたが
実際に代筆をしてもらう事が当時一般的だったんでしょう。

さらに百人一首にも採用されている崇徳帝の歌が出てきましたが
あの歌を恋の歌ではなく、家族の愛を求める孤独な天皇の心情
といった一面で捉えたのは中々に面白いと思いました。
叔父子として崇徳帝を廃そうとする鳥羽院と
それでもなお家族の愛に飢える崇徳帝として描かれるのでしょうか。

で、ふと気付いたのですが、この時代というのは
百人一首が成立する少し前の時代になるわけで
百人一首に登場する人物も多いんですよね。
ただ、百人一首の名前が当時の通称になっているので
非常にわかりにくいわけですが。

ここまで、和歌が登場したのが
待賢門院堀河の「長からむ 心も知らず 黒髪の~」と
崇徳院の「瀬を早み 岩に流るる 滝川の~」の
2首だけですが、百人一首に出てくる平清盛の登場人物を
ざーっとリストアップしてみました。
はたして、歌が紹介されるのはだれでしょうか。

法性寺入道前関白太政大臣(藤原忠通:堀部圭亮)
「わたの原 こぎいでてみれば 久方の雲いにまがふ 沖つ白波」

西行法師(佐藤義清:藤木直人)
「歎けとて月やは物をおもはするかこちがほなるわがなみだかな」

皇嘉門院別当(崇徳帝の妻皇嘉門院(忠通女)の女中:演者不明)
「難波江の 葦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき」

二条院讃岐(二条帝の女中:演者不明)
「わか袖は 塩干に見えぬ 沖の石の 人こそしらね かはくまもなき」


その他、同時代の人物ですがドラマには出てこなさそうなのが

藤原基俊 「ちぎりおきし させもが露を いのちにて~」
左京大夫顕輔(藤原顕輔) 「秋風に たなびく雲の たえ間より~」
後徳大寺左大臣(徳大寺実定) 「ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば~」
道因法師(藤原敦頼)「思いわび さても命は あるものを~」
藤原清輔朝臣 「ながらへば またこのごろや しのばれむ~」
俊恵法師 「よもすがら もの思ふころは 明けやらぬ~」
寂蓮法師 「村雨の 露も未だ干ぬ 槇の葉に~」
式子内親王 「玉のをよたえなはたえねなからへは~」
殷富門院大輔 「見せはやなおしまのあまの袖たにも~」

とゴロゴロしているわけですね。
逆に、もうちょっと後だったら確実に出てきた人たちもいますね。

皇太后宮大夫俊成(藤原俊成):平家物語の「忠度都落ち」に登場
「世の中よ道こそなけれ思ひ入る~」

鎌倉右大臣(源実朝):源頼朝の子。三代将軍。
「世の中は つねにもがもな なぎさこぐ~」

ドラマに関係なさそうな人の中でも、藤原俊成、寂蓮法師、藤原定家の親子3人は
新古今和歌集や千載和歌集など日本の文学史上にたぐいまれな足跡を残したので
是非とも西行との掛け合いで登場させてほしいなと思っています。

というわけで、平清盛の密かな楽しみとして、百人一首の歌が何首出てくるか
ひっそりと数えてみてください。

ちなみに、ここからしばらく悪役として描かれる藤原忠実・忠通親子ですが
その子孫がすったもんだあった末に、鎌倉幕府の四代将軍になったりします。
世の中どうなるかわからないですねぇ(笑)

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