庄屋制選挙制度とフューチャーセンター

先週末、地元での集まりの際に
選挙制度改革がどうこうと世間では話題になっているけど
日本の選挙制度は500年前から殆ど変っておらず
実態は「庄屋制選挙制度」だと話した事を
いくつか補足しつつ将来の展望と合わせて
ブログに書いておこうと思います。

「庄屋制選挙制度」とはもちろん僕が作った造語で
実際に存在していた制度でも何でもありません。
でも、実はこの庄屋制が日本の権力構造の底辺にあり
それは中世後期に惣村が形成されて以来存在し
明治維新以降に解体されつつも
今なお社会構造の重要なポイントになっていると考えています。

まずは惣村社会における庄屋の立場を簡単に説明します。
南北朝時代から江戸時代にかけての村落は惣村と呼ばれ
大名とは「税金を納める代わりに村落の安全を確保する」という
契約による関係だけにとどめられ、村落内部には自治権があり
庄屋などの村の代表者が村内を統治していたわけです。

つまり、大名は庄屋が徴税を取りまとめてくれるし
村落内部の民政も担ってくれているので
何もしなくても税金が入ってきてハッピー。

庄屋は村の中では統治者として振る舞えるし
税さえ納めておけば武士は何も言ってこないし
敵が攻めてきたら守ってくれてハッピー。

小作人は・・・・(笑)

で、この惣村や庄屋が徴税を請け負う村請制度は
明治時代に入って納税の仕組みとしては無くなりましたが
それでも日常生活においては組長や町内会長などと
庄屋が名前をかえた形で残って行きました。

そこに普通選挙制度が導入された事で
庄屋が政治体制の中で権力を維持する事が出来た
と僕は考えています。

上記にある大名を政治家、税を票に帰れば解りやすいですが
庄屋が村の顔役として村内の票を取りまとめる。
その票を固定票として維持することで政治家は当選する。
その見返りとして庄屋は村内の諸問題について
政治家に対して行政からの支援を要求する。

これによって政治家は庄屋さえ押さえておけば
一人一人の国民に指示を訴えなくてハッピー。
庄屋は村落の発展に貢献することで権力を維持できてハッピー。
小作人は・・・(笑)

で、この庄屋制度は都市部においては
形を変えて存在していると考えています。
それは業界団体と労働組合です。

農村においては稲作を中心とした地縁社会ですので
村落内の庄屋が権力を持つわけですが、
都市においてはかつては企業が従業員の生活全てを面倒みており
住居や医療、子どもの教育にまで企業の支援がありました。
そうなれば、日々の生活で支援してくる組合幹部であったり
中小企業であれば業界団体であったりという所が
農村における庄屋と同じような役割を担っていた
と言えるんじゃないでしょうか。

その結果として、現代においても農協、業界団体、労働組合など
背後に多くの票田を持った支持団体を確保することで
安定した得票を確保して政治家が地位を維持する仕組みが出来上がった
僕はそう考えています。

なので、中選挙区だろうが小選挙区だろうが比例のみだろうが
選挙にて投票するメカニズムが変わらない限りは
500年続いた日本の仕組みを変える事は出来ないと考えています。

じゃあ、それを打破するにはどうしたらいいか。
そのヒントが「無党派層」という層にあると考えています。

中世日本においても自由民という惣村に縛られない人々は多くいました。
しかし近世から近代にかけて、国家制度が確立されていく中で
自由民は行動を束縛されて社会制度の中に組み込まれました。
それが、戦後の自由憲法の下で再び自由な活動を行うようになり
庄屋制の投票原理の仕組みからはみ出してきました。

彼らには、みな異なる政治理念や信念があるわけですが
庄屋制でしか投票行動を分析できない人々にとっては
「その他の層」つまり「無党派層」としか呼べないわけです。

現代において、この無党派層は国民の半分ほどを占めるようになってきています。
統計において50%を「その他」と表現するのはあまりにも乱暴だと思います。

つまり、この無党派層をきちんと分解して、
政治理念や政策課題などで分類する事こそ、庄屋制打破の第一歩と考えます。

で、その無党派層の分類に有効なのがフューチャーセンターだと考えています。
フューチャーセンターの細かな定義がぐぐってもらえれば分かると思いますが、
ここでは簡単に言うと政治家のサロンをイメージしています。

政治家個人または政党の支部単位くらいで各政党がフューチャーセンターを開設し
そこに自由に市民が集まって政策課題について議論してもらう場を作ります。

本来のフューチャーセンターではオープンな議論が重要になるかもしれませんが
ここでは無党派層の人々に自分たちにあった支持政党を知ってもらうために
議論の前提として各政党の基本的な方針を共有してもらいます。
なので住民たちは、みな自分の政治理念と近い政党のフューチャーセンターを選べます。

もう一つ重要な事なのですが、フューチャーセンターにおいては
政治家も1参加者の立場で政策課題を議論してもらいたいという点です。
今でも政治家の勉強会というのが多くありますが、
大抵の場合は、その道の専門家が政治家にレクチャーするという形式か
政治家が一般の支持者にレクチャーするという「講義」形態のものです。

そうではなくて、政治家と一般市民が同じ目線で議論できる場があると
政治への参加意識は高い人々が積極的に政治に参加するきっかけとなりますし
サービスを受ける側の率直な意見であったり
知られざる専門家の貴重な見解であったりといったものを
集められるんじゃないでしょうか。

また、このフューチャーセンターには副次的な効果があります。
それは、そこで議論した結果を実行するのは政治家だという事です。
自分が議論に参加した政策課題については、その結果がどういう
アウトプットにつながったのかと興味を持ちます。

議論をするだけやって法案や条例案にしない議員や
結局、行政を動かせない議員などは実行力が無いと言う事が解るわけで
支持者へのガス抜きだけやるような議員には支持者が集まらない
という結果になるんじゃないでしょうか。

とまあ、勢いで書いてみましたが
ちょっとしたら落ち着いて読み返してみて
もう少し整理しようと思います。

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